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第50回大河内記念賞

近赤外光を用いた脳活動の画像計測法光トポグラフィの開発と実用化

 

脳活動を計測、画像化する装置には、従来から「機能的核磁気撮影法」(fMRI)、「陽電子放射断層撮影法」(PET)がある。これらの装置は大型で特別な検査室を必要とし、また被験者の姿勢を固定して計測を行っていた。

光トポグラフィとは、ヒト固有の高次脳機能が集中する大脳皮質の活動を可視化するある波長帯の近赤外光を用いた新しい脳機能画像計測法である。計測に使用する微弱な光(照射強度: 数 mW)は安全であり、光ファイバを取り付けたキャップを被るだけで自由な姿勢で計測できる。このため、乳幼児から老人まで年齢を問わず、高次脳機能の活動を画像化できる唯一の方法である。

脳表全領域での血液量変化を同時に多点で計測できる周波数エンコード計測法によって、脳活動の高速動画計測(10枚/秒)を達成できた。また、半導体製のレーザ、検出器を使用したため装置は小型であり、手術室や病室のベッドサイドなど場所を問わない計測も可能となった。

厚生労働省の薬事認可を取得し、2001年に製品発表を、また、2002年には脳神経外科分野で保険認可を受けた。更に、精神科における診断支援ツールとしての活用を初めとして様々な医療分野での応用が期待されている。また、生まれた直後の言語や視覚機能の計測が可能であり、乳幼児の脳発達研究にも積極的に活用され始めた。その研究結果は、教育へ展開することが期待されており、大きな潮流を生み出している。