第50回大河内記念生産賞
高炉におけるプラスチック再資源化技術の確立
プラスチックは汎用材料として広範な用途に使用されているが、その生産量の飛躍的な増加に伴い、使用ずみプラスチックは年間1000万tに達している。この使用済みプラスチックのうち、再生や発電に有効に利用されているのは約50%に過ぎず、大半は埋め立ておよび焼却処理されている。そのため、埋め立て処分場の不足、焼却時の炭酸ガス排出による地球温暖化など大きな環境問題となっている。
本技術は、高炉内で廃プラスチックを鉄鋼石還元材として高効率で利用する技術と雑多な廃プラスチックを高炉に挿入するための前処理技術からなる。
(1) 設備腐食等の原因となる塩化ビニールを高効率で分離除去する技術
(2) 高炉に吹き込むプラスチックを適当な粒径、強度に粉砕する技術
この結果、高炉1基当たり、廃プラスチック10kg/銑鉄1t以上の吹き込みが長期間、安定的に可能となり、世界で初めて使用済みプラスチックの収集から高炉原料化一貫システムが完成し、実用化した。
1996年の事業開始以来、処理量は着実に増加し、2002年では12万5千tの使用済みプスチックを製鉄用原料として再利用し、これにより約10万t-Cの炭酸ガスを削減した。
高炉への使用済みプラスチックの吹き込み基本技術は、その社会的重要性が極めて大きいので、広く技術供与をおこない普及に努めている。