第50回大河内記念生産賞
自動車塗装工場における新塗装方法の開発
世界規模での環境保全意識の高まりの中、自動車塗装工場における揮発性有機溶剤(VOC)の削減や乾燥炉などのエネルギー消費により発生するCO2の削減が急務となっている。当社は今回、従来の環境対応技術にはないVOCとCO2を同時に削減でき、更にコスト低減や品質向上、生産時間短縮など塗装ニーズへの対応が図れる環境に優しい新塗装方法を開発した。
この新塗装方法は、主に
(1) 中塗、ベース、クリアを連続して塗装後、3層を一度に焼き付ける3ウエットオン塗装技術
(2) 塗装シミュレーション技術を活用した高効率で高精度な塗装制御技術
(3) 生産を阻害するゴミ付着の排除技術から構成されている。
この技術の導入により、VOCは水性塗料を採用する欧州規制水準(35g/平方メートル)を達成し、同時にCO2を従来塗装比15%以上削減した。また、塗装効率を最大限に引き上げた塗装プロセスを実現することで、生産コスト(▲25~30%)と生産時間(▲15~20%)の大幅な低減を図っている。
当社では、この新塗装方法を主力車種であるアテンザ、アクセラに採用し、標準塗装システムとして全工場への展開を進めている。
本技術は、環境対応と経済性を両立できる優れた新塗装方法として国内外の自動車メーカーから関心を集めている。水性塗料への置換も可能であることから、今後、自動車塗装のみならず幅広く採用されていくものと期待されている。