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第50回大河内記念技術賞

超微細粒熱延鋼板の製造を可能とした偏芯異径片駆動圧延設備の開発

 

鉄鋼材料の結晶粒を微細化すると靭性、強度が大きく向上する。本業績は、超微細粒熱延鋼板の製造を目的に、新しい圧延設備と連続強冷却技術の開発に関するものである。

 偏芯異径片駆動圧延設備の開発により、従来不可能であった大圧下連続圧延を可能とし、スタンド間の大流量整流冷却設備の開発により急速冷却に成功した。この結果、極めて微細な平均結晶粒径3μmという鋼板の製造に世界で初めて成功し、営業生産にいたった。

開発技術は、

(1)鋼板の形状制御を可能とした偏芯・異径・片駆動・圧延設備の開発
1) 上下の圧延ロールの直径が異なる異径ロールの採用

2) 下側のロールのみを駆動する片駆動圧延設備の採用

3) 上下のロールの軸をずらす偏芯圧延技術の開発

4) 上記の新圧延設備に対応した新形状制御システムの開発

(2)新しいロール材質と潤滑剤の開発

(3)大流量整流による強冷却設備と水切り技術の開発などである。

 これにより、特殊な合金元素を削減しながら高強度鋼の製造が可能となり、溶接性・靭性・塑性加工性・耐久性の向上などを達成した。

 合金元素の削減と鋼材使用原単位の低減による省資源、リサイクル性の向上、自動車などの軽量化による燃費向上と炭酸ガス排出量の削減など、地球環境問題への寄与とともに、多くの産業への貢献が見込まれている。