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第50回大河内記念生産賞

コエンザイムQ10の工業生産とバイオアベイラビリティ向上技術の開発

 

コエンザイムQ10(CoQ10)は、エネルギー産生と抗酸化作用を担うバイオファクターである。このCoQ10の有用性に着目し1970年代に自然界の植物を由来とした大規模な精密精製技術等を開発し、世界に先がけて工業化、医薬品化に成功した。以来、国内へは心不全薬及びその原料として供給するとともに、生産量の大半を海外に輸出してきた。現在でも我が国が世界のCoQ10の供給センターとなっている。幅広い研究の結果、CoQ10は海外では科学的なエビデンスに基づき大幅に市場が拡大している。また国内でも、経腸栄養剤、ドリンク、顆粒等の色々な形態の食品を発売し、市場が急成長中である。

かかる状況の中で、CoQ10の更なる有用性の拡大のために、生産技術とバイオアベイラビリティー向上技術を開発した。生産面では、Friedel-Crafts反応における触媒瞬間添加法等の様々な技術革新に成功し、生産性の飛躍的な向上を実現することで、市場ニーズにも応えた。またバイオアベイラビリティー面では、均一分散技術及びナノ粒子乳化液等を開発し、より少ない摂取量で吸収性を高めることに成功した。

こうしたパイオニアとしての技術開発の積み重ねを通じて、さらにパーキンソン病、筋ジストロフィー等の難治性疾患の治療や畜産分野への展開を進めている。

今後とも安全で有用なCoQ10を広く普及させることにより、健康増進に多大な貢献を果たすものと期待されている。