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第61回大河内記念生産特賞

積層型CMOSイメージセンサの開発と量産化

 

1 開発の背景と内容
半導体イメージセンサはビデオカメラ、デジタルカメラ、スマートフォンカメラなど幅広い用途で使われ、微細化と多画素化が進み、高感度化が必要となった。ソニーでは、2008年、裏面照射型CMOSイメージセンサの量産化に成功し、高感度、多画素化を実現した。ところが、スマートフォン等の携帯機器では、画質向上、小型化、高速かつ消費電力の低減要求が一段と強まり、センサ部と論理回路を同一チップ上で製作することが困難となった。そこで、従来の裏面照射型CMOSでは、薄膜の支えとして貼り合わせていたSiウェーファに新たに論理回路を組み込み、チップ当たり、1万カ所以上の電気接点を一度に接続する技術を開発し、小型で高機能のイメージセンサを実用化したものである。

 

2 特徴と成果
バインダーを用いずに、それぞれ最適の行程で作成したイメージセンサ部と論理回路部を高精度に接着する手法を開発し、多数の電気接点部に穴を開けて一度に導体を密着させる技術を開発して論理回路部とセンサ部の一体化を実現した。大きさは、面積は、ほぼ受光面だけであり、厚さも標準チップレベルで2つの機能を集約できている。結果として、高いダイナミックレンジの実現、合焦点時間の短縮などの機能が追加されている。ソニーは、この積層型CMOSイメージセンサにより、2014年度スマートフォン用メインカメラ市場においてシェア40%以上を確保する見込みである。

 

3 将来展望
小型、高感度で機能性の高いイメージセンサの需要は、スマートフォンのみならず、多くの電子機器に広がることが期待され、生産はますます増加するものと考えられる。論理回路部は、その時点での最高技術で作成可能であることから、今後ますますの高機能化が実現され、広く我々の生活の中に普及するものと考えられる。