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第62回大河内記念技術賞

燃焼排ガスからのCO2回収装置の開発

 

1 開発の背景と内容
CO2の大量排出源排となる発電所や工場の排ガスからCO2を回収して、原油回収率向上のために油田へ注入(EOR: Enhanced Oil Recovery)したり、化学プラントの原料として供給することにより、CO2の削減を行ないながらCO2を有効に利活用して付加価値を生み出す経済性の高い技術を確立した。従来のMEA(モノエタノールアミン)を用いた化学吸収法によるCO2回収技術では、エネルギー消費量が大きい、吸収液の腐食性が高い、吸収液の消費量が大きい、などの大きな問題点があった。本技術は、アミン系物質の立体障害構造に着目して開発した吸収液と再生後の吸収液の熱を吸収液の再生に再利用する独自システムで大幅な省エネルギーを達成。更に吸収液消費を著しく抑制する技術を確立し、実用に耐えるCO2回収技術を世界に先駆けて商用化したものである。

 

2 特徴と成果
技術開発の主な特徴は、次の通りである。 ① 吸収液の新規開発:アミン化合物の立体障害構造に着目して、CO2の吸収・放出特性に優れ、かつ腐食・劣化が少なく再生エネルギーの小さい新しい吸収液(KS-1TM)を開発した。 ② 省エネ化技術:再生後の吸収液熱を再生に利用する独自フローシステムの開発により、大幅な省エネ化を実現した。 ③ アミン放出抑制技術:排ガス中にSO3がわずかでも存在すると、アミンの消費が著しく増加する現象を世界に先駆けて解明し、吸収液消費を従来の10分の1以下に抑制する技術を開発した。
1999年のマレーシアでの200t/d設備を設置以来世界で11基の商用機を稼働させており、2014年には、石炭火力排ガスからの世界最大のCO2回収プラント(4,776t/d、180万t/y相当)を受注しており、世界的シェアで他を圧倒している。

 

3 将来展望
信頼性、経済性の高いCO2回収技術が完成し、発電所排ガスなどからのCO2回収・貯留(CCS)は温暖化対策の本命技術の1つとして、広く世界に普及することが期待されている。