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第62回大河内記念生産賞

光通信用DFBレーザーの開発と生産技術の確立

 

1 開発の背景と内容
現在、光ファイバーを伝送線路とした光通信ネットワークが世界的に急速に拡大しつつある。特に、FTTH(Fiber To The Home)に代表されるアクセス系光通信、LTE(Long Term Evolution)に対応した携帯電話基地局ネットワークの増加は目覚ましい。これらのシステムにおいては、伝送線路として優れた光ケーブルが必要であるとともに、伝えたい電気信号を光信号に変えて光ケーブルに伝える変換器として波長の単一性に優れており動作の安定したレーザー光源が必要である。三菱電機では、独自の技術開発により波長安定性・信頼性の高いDFB(Distributed Feedback) レーザーを開発し、量産する製造技術を開発した。 1992年、同社、独自のデバイス構造であるFSBH(Facet Selective-growth Burried Heterostructure)構造を有機金属気相成長法で作成し、歪多重量子井戸活性層の利用、漏れ電流の少ないドライエッチングによるメサ構造作成技術などの開発、更に、2006年、活性層にInGaAsPに代えて新たにAlGaInAsを適用したことなどの様々な技術開発の結果、周波数、単一モード、出力等の性能が安定したDFBレーザーを生産している。特に、大量生産に重要なTO-CANパーッケジ自動生産ラインを合理化した性能検査システムと有機的に組み合わせることで安価で安定したレーザー光源を大量に生産する技術を確立している。

 

2 特徴と成果
上記のように、DFBレーザーとして独自の構造を有し、結果として極めて安定性の優れたレーザーが生産されており、ユーザーの評価も高い。同時に、組み立て工程においても、信頼性を上げて大量生産に向いた製造ラインを構築している点も大きな特徴である。これらの技術開発の結果、FTTH用のレーザーとしては、世界市場の40%以上を占有している。

 

3 将来展望
FTTHは、各家庭、オフィスなどの遠隔操作・監視技術の進歩に伴ってますます利用が増加するものと予想され、設置に対する需要が高まるものと期待される。同社の製造ラインは、常にフル稼働している状況で、ラインを増加すると、それに比例して製造量も増加している。また、通信容量が、10Gbpsからその4倍に増加する方向にあり、すでに対応できるレーザーを開発している同社にとって、更に、市場占有率が増加する可能性が高い。