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第66回大河内記念生産賞

マイクロLEDを用いた高画質でスケーラブルな大型ディスプレイシステムの開発

 

1 開発の背景と内容
狭ピッチ(一般に画素間隔2.5 mm以下)マイクロLED(一般的には0.01 mm 2 以下)大型ディスプレイは屋内用の超高画質ディスプレイの本命として開発され,コントロールルームやコーポレイト用途で市場が広がりつつある。本業績は,タイリング方式によるスケーラブルな狭ピッチマイクロLEDディスプレイ(同社製品吊Crystal LEDディスプレイ,1.26 mmピッチの0.003 mm 2 マイクロLED)の量産を世界で初めて実現したものである。

 

2 特徴と成果
世界最小レベルの高輝度マイクロLEDを用いることで,高コントラスト(コントラスト比10,000:1以上),180°近い広視野角,広色域(sRGB(ITU-BT.R709) x 140%)でかつ高い均一性を有する超高画質ディスプレイを実現した。高輝度マイクロLED,アクティブマトリクス駆動マイクロICという同社の独自技術をもとに,これを実装したはがき大のセル,セルを組み合わせた約30 cm四方のディスプレイユニット,ユニットを結合(タイリング)した大画面ディスプレイと順に組み上げていく工程を同社グループの国内工場だけで生産する方式を編み出した(工場ではディスプレイユニットまでを生産し,それを紊品先で組み合わせて最終的な大型ディスプレイを組み立てる方式を取っている)。マイクロLEDを適切な間隔で基板上に高速実装する工程や輝度・色度の画素間均一性を確保3るプロセスなどの高度な生産技術を駆使して,世界初の大型超高画質ディスプレイの量産に成功した。現在でも量産されている狭ピッチマイクロLEDタイリング式大型ディスプレイは当該製品のみである。

 

3 将来展望
屋内専用超高画質大型ディスプレイというニッチなマーケットを狙った製品ではあるが,その独自性と高度な生産技術は特筆すべきものがある。生産額,市場占有率ともに急速に伸びており,2018年で66億円の生産実績(1.9 mm以下の狭ピッチLEDディスプレイとしてシェア6.6%)である。相当の低価格化が実現しなければ民生品等への展開は難しそうだが,超高画質を必要とするマーケットの開拓が進めば今後の成長も期待できよう。