第69回大河内記念生産賞
極端紫外線露光世代の半導体測長SEMの開発と高精度化
株式会社日立製作所 株式会社日立ハイテク
1 開発の背景と内容
半導体作製において半導体パターン測長SEMは必要不可欠な装置であるが、近年の半導体回路パターンの寸法はナノメートルレベルになっており、0.1nm級の精度と安定性が要求されている。(株)日立製作所と(株)日立ハイテクでは、極端紫外線(EUV)露光世代の半導体パターン計測用測長SEMを対象として、高精度化、安定性、デジタル技術装置の3点に着目した技術開発を行ってきた。
2 特徴と成果
同社は、まず対物レンズフォーカス合わせ高精度化技術について取り組み、ポールピースの磁気ヒステリシスを低減するために新たに微細結晶粒パーマロイ材の加工プロセスを開発し、これを装置製造に適用した。また、信号電子偏向器での信号電子揺れ抑制技術については、電子ビーム揺れを1/10程度に抑制する技術を開発し、さらに、電子ビーム形状補正デジタル処理技術を用いて、個別装置間のSEM画像と解像度査(機差)を0.07nmまで低減することに成功している。これら一連の技術開発により、本装置はEUV対応半導体パターンの測長SEMとして高く評価され、世界中の半導体メーカーに多数導入されており、現時点で市場占有率70%を達成している。
3 将来展望
半導体が微細化するにつれて、半導体パターン測長SEMの需要は益々高まっておりさらなる高精度化、高安定化が必要とされつつある。(株)日立製作所と(株)日立ハイテクでは、対物レンズフォーカス合わせ高精度化技術、信号電子揺れ抑制技術および電子ビーム形状補正デジタル処理技術をさらに高度に発展させつつあり、今後のさらなる市場拡大が期待できる。