第70回大河内記念生産賞
半導体デバイスの微細化と生産性向上に貢献する
半導体洗浄装置の開発
株式会社SCREENホールディングス
株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズ
1 開発の背景と内容
半導体洗浄装置は、半導体集積回路を製造する上で最も重要な工程の一つである半導体ウェハ表面およびウェハに加工形成された半導体回路素子の精密清浄化を実現するプロセス装置であり、先端半導体の需要が高まる中でその重要性が拡大している。本業績の対象である、複数枚のウェハをまとめて処理するバッチ式洗浄装置と1枚ごとに処理する枚葉式洗浄装置は、世界初を含む種々のキーテクノロジーの開発・導入により、洗浄・乾燥性能、生産性、環境負荷等の点で極めて優れた特性を有し、強固な製品競争力を有している。
2 特徴と成果
本業績の半導体洗浄装置では、精緻な流体シミュレーション技術などを駆使することにより、バッチ式に対してはキャリアレス・ワンバス方式やIPA乾燥技術等の導入、また枚葉式に対しては高精度流量制御、表面雰囲気制御やスプレー洗浄技術等の導入により、優れた洗浄・乾燥性能を実現するとともに、高スループット化による生産性向上と洗浄液の使用量削減による環境負荷低減を同時に実現している。加えて、装置の設計標準化を進めることで、製品のデファクト・スタンダード化を実現し、高い国際競争力を獲得している。また、本装置の製造ラインを国内に有しており、紊入先ごとに装置仕様を個別化する独自の生産方式を確立している。事業規模として、2022年にはおよそ3200億、2023年には4000億円を越える売上実績を達成し、バッチ式および枚葉式で世界トップシェアを実現している。
3 将来展望
現在及び将来のIT社会を支える先端半導体生産量の拡大とともに、今後も本事業の拡大が見込まれる。一方で、微細化を達成する上での高度な製造技術を実現するためには、半導体洗浄装置性能の向上も引き続き求められる。1980年代から現在に至るまでの本製造装置の開発を通じて得られた長年のノウハウの蓄積と高い技術力により、将来においても、市場のニーズに応える更なる製品性能の向上と事業規模の拡大が強く期待できる。