第50回大河内記念生産賞
新世代中径シームレス鋼管製造技術の開発
エネルギー需要が石油から天然ガスにシフトし、かつ過酷な環境下での油井開発が活発化している。このため油井管やラインパイプは、中径シームレス(外径177~426mm)の高品質・高強度・高耐食性の鋼管ニーズが増加している。一方、鋼管メーカーの統合・再編や発展途上国メーカーの輸出マーケットへの新規参入により国際競争も激化して来た。
そこで、従来技術を抜本的に見直し、当社独自開発の「高交叉角拡管穿孔技術」を核とした新世代の鋼管製造技術を開発した。
(1) 高級品供給能力拡大については、疵の発生しにくい「高交叉角拡管穿孔技術」と、製管設備では初の本格的なインライン熱処理技術の組み合わせにより、「高強度高耐食性厚肉ラインパイプ量産技術」、「ステンレス鋼管量産技術」を開発し、クリーンエネルギーである天然ガス生産に寄与し地球環境に大きく貢献した。この結果、高級鋼管比率は80%を達成した。
(2) 一方、競争力強化のため、鋳込み技術の革新による製管設備では、世界初となる素材鋳込みと製管設備の直結化、「高交叉角拡管穿孔技術」による素材径の種類の大幅削減・マンドレルミルのスタンド数削減、再加熱炉の省略、熱処理設備の直結化等によりシンプル&コンパクトな製管設備を実現した。その結果、製造リードタイム短縮(従来比1/3)、生産性約4倍を達成した。
本開発技術は、益々増大する高級化ニーズにも将来にわたって十分対応可能で、今後とも地球環境の保全に大きな貢献を果たすものと期待されている。