第51回大河内記念技術賞
IC検査用微細コンタクトプローブの量産技術の開発
1 開発の背景
年々集積化・小型化が進む各種ICの検査技術では、コンタクトプローブには・90μm以下の狭ピッチ化、・検査コスト低減のためのデバイスの一括検査(プローブ数5000以上)、・従来通りの価格に対応すること、が求められていた。
2 特徴と成果
前項の・~・に対応するためには、製品のばらつきを制御し、±2μm以下の非常に高い加工精度でプローブを作製する技術が必要である。このために新たな量産LIGAプロセスとして、a)低コスト化放射光リソグラフィ技術と、b)高靭性・高硬度・高耐熱電鋳材料の開発を行った。a)では、PMMAの10倍の感度をもつレジストを開発し、露光時間を大幅に低減した。また、大型X線マスクとステップ照射システムを開発し、プロセスコストを1/3にした。b)では、ニッケル・マンガン合金電鋳材を開発し、弾性限界向上(700→1,200MPa)と硬度向上(Hv:400→650)、耐熱性向上(100℃→150℃)に成功した。また、価格は従前以下での量産に成功した。
現状で月産数10万本のプローブを生産している。本技術開発は、放射光を使用した量産技術としては世界初の成果であり、従来技術を駆逐し発展する可能性は極めて高い。知的財産を形成し、学術講演による技術公表等、学界・産業界への貢献も顕著である。
3 将来展望
本技術の大きな特徴の1つは、リソグラフィ用のマスク作製以外は、クリーンルームが不必要であり、通常の施設で一貫生産ができる点である。従って、今後の発展も容易であり、生産量も数年で1桁以上の伸びが期待される。LIGAプロセスのコストが大幅に低下したことも併せて考えると、医療・通信分野への大きな波及効果が期待される。