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第51回大河内記念生産特賞

DVD記録用赤色高出力レーザの開発と生産

 

1 開発の背景
記録型DVDは、急速に普及し重要な市場を形成している。性能の鍵は高速化であり、最速となる16倍速の製品化可否を決めるのが書き込み光源である赤色高出力半導体レーザである。最終的には250mWの高出力が要求されたが、従来技術では端面破壊により製品化は困難であった。

 

2 特徴と成果
1997年に研究開発を開始し、端面破壊、出力光ビームの安定化、量産に適した構造設計と製造法、などの技術課題を独創的に克服してきた。開発にあたっての主要課題は、光学的端面破壊防止のための窓構造作製には1回の結晶成長で作製できる構造で単一横モード動作を得ることにあった。いずれも理論的には古くから提案されていた構造であるが、実際に信頼性および安定性高く製造するには克服すべき困難点があったために他では実現できなかった。例えば、横単一モード動作を得るために、・ドライエッチングにより十分に小さな幅のリッジ構造を装置内にその場観測光学モニターを組み込むことで達成した。・他にも分析技術を独自開発して製造条件の最適化・安定化を達成し、従来不可能であった構造作製が可能になった。
2004年には波長650nm帯、出力250mW、動作温度75℃を世界最初に達成した。これにより16倍速DVD記録装置の製品化が可能になった。その結果、年産5,000万個、年間生産額160億円、世界シェア80%と業界トップを達成した。この業績はDVD記録機器そしてこれを組み込むパーソナルコンピュータ等の産業の進展を支えている。知的財産を形成し、学会発表および招待講演による技術公表、DVD記録技術の規格制定への貢献により、学界、産業界への貢献も顕著である。

 

3 将来展望
本業績で開発された構造形成・製造技術は、今後普及が見込まれる二層DVDディスク用ピックアップ、モノリシック多波長ピックアップへも応用・適用が可能であり、技術展開が期待され将来性が高い。