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第56回大河内記念生産賞

大容量片面2層50GBの
記録型ブルーレイディスクの開発と量産化

 

1 開発の背景と内容
放送のハイビジョン化やパソコン(PC)データの情報量増大に伴い、大容量かつ高転送レートの光ディスクが期待されていた。4時間以上の高解像度ハイビジョン映像をディスクを入れ替えることなく記録かつ編集できる2層書換型ブルーレイディスク(BD-RE)、また6倍速の高速でアーカイブできる2層追記型ブルーレイディスク(BD-R)の量産化技術を確立し、DVDと同等な価格にすることでブルーレイディスクの大容量化最先端の市場を切り拓いた。

 

2 特徴と成果
本業績は、次の独創的な技術に特徴を持つ。
(1) 樹脂スピンコート工法による高精度中間層の量産製造技術
2種類の紫外線硬化樹脂とポリカーボネイトスタンパで、案内溝を転写する転写層と、基板に接着させる接着層の二つからなる中間層を実現して、従来工法に比べて1/10の低コスト化を実現した。
(2) 記録型相変化材料と高精度積層成膜技術<記録/未記録部の透過率バランスを考慮した層構造設計により、世界で初めて書換型の2層REディスクを実現した。また、高速結晶化が可能な相変化材料開発により6倍速の高速2層Rディスクをこれも世界で初めて実現した。量産積層成膜技術によりディスクの信号面に記録膜をナノ厚み制御で形成して安定に高い性能をもつR/RE2層ディスクを実現した。
(3) 裏面成膜構造による低チルト2層ディスクの量産製造技術
裏面成膜で基板吸湿制御技術を開発し、温度/湿度が急激に変化してもディスクの歪みによる角度を許容値以下に抑え、様々な環境下で高い信頼性をもつR/RE2層ディスクを実現した。
裏面成膜で基板吸湿制御技術を開発し、温度/湿度が急激に変化してもディスクの歪みによる角度を許容値以下に抑え、様々な環境下で高い信頼性をもつR/RE2層ディスクを実現した。
大容量2層ブルーレイディスクBD-R/RE(50GB)を低価格で実現すると共に、コンテンツ業界やIT業界の信頼を得て規格統一を果たし、AVレコーダーやPCドライブの普及および関連産業の発展に貢献した。生産実績は、2008年度はBD-R(2層)が125万枚、シェア61.6%、BD-RE(2層)が41万枚、シェア68.2%である。

 

3 将来展望
50GBブルーレイディスクは、リムーバブルな記録媒体として利点を有することから、大きな市場を形成すると予測される。今後も更なる映像の高精細化や三次元映像コンテンツなどの大容量データの記録に対応することで飛躍的な市場拡大が見込まれる。